260208
衣笠 広報
数日前、静岡英和学院大学の金承子先生が書かれた「キリストの教えに学ぶポジティブ思考と自己成長」という論文を拝読いたしました。ある部分は引用、ある部分は私なりに要旨をまとめて紹介してみたいと思います
・高度情報通信社会は、テクノロジーの急速な進化により劇的な変化を遂げている。特に、新型コロナウイルスのパンデミックを契機として、社会構造や人間関係のあり方に対する価値観が大きく揺さぶられた。リモートワークやオンライン教育が普及し、私たちはIT 技術やSNS を通じて世界とつながり続ける一方で、これらが引き起こす問題も顕在化している。私たちは「何が正しく、何が間違っているのか」という基準を見失いつつある。このような社会環境の中で、多くの人がアイデンティティ(identity; 個性・主体性・独自性)の喪失や無気力感に陥り、引きこもりやうつ病といった精神的な問題に直面している。
・高度情報通信社会において、個人の幸福や成功を追求する過程で、ポジティブ思考が果たす役割はますます注目を集めている。多くの人々が日常的に直面する困難やストレス、変化の激しい環境において、物事を前向きに捉える能力は心身の健康だけでなく、社会的成功をも左右する重要な要素である。
・こうした時代背景の中で、多くの人が自己啓発の道を模索している。自己啓発本は、一
時的な心の支えや新たな視点を与えてくれる。…そして金先生もまた、多くの自己啓発書を手に取り数多くの知恵やヒントを得てきたそうですが、こういった自己啓発書の多くが聖書を起源とする考え方や価値観に根ざしているのではないかということに気が付かれた、と言われます。
そして金先生は、ある研究者の言葉を引用されています。
・ポジティブ思考とは「困難な状況に直面した際にも希望や勇気を持ち続け、物事の良い側面を見出そうとする心の在り方」と定義している。この心の在り方は、単なる楽観主義とは異なり、現実を冷静に受け止めながら建設的な方法を模索する姿勢を含んでいる。この定義は、ポジティブ思考が単なる「前向きな考え方」ではなく、現実を直視しながらも積極的に未来を切り開く姿勢を含む点を強調している。
話は脱線しますが、この文章を読みながら昨年、聖年の際、よく出てきた希望という言葉の意味が私自身より深く理解できました。
私たちは信仰が特に困難な時の支えになることを経験上知っています。でもそれを説明するとなるとどう説明したらうまく伝わるのかと思う時がありますし、皆様もそういう経験があるかもしれません。でもこうやって研究者の方が客観的な視点で述べてくださると私たちが信仰を伝える際のヒントや私たち自身、信仰の理解を深めるきっかけになるんじゃないかと思います。
今日の福音のポイントはもちろん「あなたがたは地の塩、世の光」でしょう。もちろん、イエス様の弟子であるキリスト者が社会に与えた影響を考えることは当然のことだと思います。塩は腐敗を防ぎ、味付けをします。光は暗闇を照らし、道しるべとなるものです。そしてキリスト者がそういう役割を担ってきました。人権、福祉、教育などの分野のことを考えると皆様もいろいろなことを思い浮かべるでしょう、多くの事例があるわけですから。しかし今回私は、キリスト者が地の塩、世の光という前に、イエス様ご自身が地の塩、世の光である。そして社会においてという前に私たち一人一人にとってイエス様が塩であり光であるとはどういうことなのかということについて考えてみたいと思いました。その時に金先生の論文を拝読することができたわけです。 私達は困難から希望へと導かれ、イエス様との絆が深まった経験があると思います。だからこそ信仰を実行に移したいと願っている。この姿勢こそがキリスト者が地の塩、世の光ということに繋がるのではないでしょうか。
参考・引用文献 キリストの教えに学ぶポジティブ思考と自己成長 金 承子/静岡英和学院大学 キリスト教研究年報 第7号 (2025年3月)